クラウドネイティブ・エッジへの道を拓く「Project Cassini」の参加企業が2021年に倍増

October 21, 2021


2021
1021日、「Arm DevSummit 2021」発 ― 英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)は、今週開催のArm DevSummit 2021において、「Project Cassini」がIoTおよびインフラストラクチャ・エッジのサプライチェーン全体を通じて主要なシリコンメーカーとデバイスメーカーから広く採用され、大きな成功を収めていることを公開しました。参加パートナー数は、12カ月前の30社から現在は70社強と2倍以上に増加しています。

Armパートナーによるチップの出荷個数は2,000億個を突破しましたが、その大半は、起床から就寝まで、人々の日常生活をあらゆる場面で支えているデバイスに採用されるものです。こうしたIoT分野でのArmテクノロジーの広範な普及状況は、世界の共有データの100%がいずれはArm上で処理されるという予測の強力な裏付けとなっています。

ArmのIoT/組込み事業担当バイスプレジデントであるモハメド・アワッド(Mohamed Awad)は、次のように述べています。「IoTとエッジ・テクノロジーの可能性をフルに引き出し発展させるには、現在よりも大幅に急ピッチで開発と導入を進める必要があります。組込みソフトウェア、クラウドサービス、ハードウェア設計、コネクティビティ、機械学習、セキュリティなど、IoTシステムの提供に関して克服すべき課題は山積しており、その多くは、複雑化や分断化などの問題により改善が遅れています。2019年にスタートを切ったProject Cassiniは、Armのセキュアなエッジエコシステム全体でクラウドネイティブなソフトウェア体験を実現する上での主要な摩擦点を解消するため、業界が一丸となって取り組むことを目的としています。特に今年は喜ばしいことに、世界有数のODM数社を含め、『ファーエッジ』のゲートウェイやエンドポイントに注力するパートナーの参画を得ました」

クラウドネイティブ・エッジに向けた進展
ソフトウェアの大規模導入を実現するためのスケーラブルで実践的な青写真と、開発者のAPIに対する一貫したアプローチを通じて、デバイスのセキュリティを開発の最初の段階から担保することは、業界全体で明確に認識されているメリットです。標準化をはじめとするイニシアチブの3つの柱すべてにおいて、Project Cassiniの成長と採用の加速が明確に示されています。

「Arm SystemReady」は、Armベースのエッジデバイスに導入されるOSの一貫性を確保することで、ハードウェアとソフトウェアがArm環境で「想定通りに動作する」ことを担保する標準化イニシアチブです。プログラムに関する重要なマイルストーンは以下の通りです。

  • 主要パートナー2社とともに昨年開始して以来、現在はさまざまな分野で26のデバイスがSystemReady認証を取得しています。
  • ArmのシリコンパートナーであるAmpere、Broadcom、Marvell、NXP、Rockchipは、各社の代表的なSoCの評価キットでSystemReady認証を取得しており、それぞれの顧客企業に対し、各社のSoCを採用した製品の認証取得をより簡単に行うための基盤を提供しています。
  • AAEON、Advantech、Avantek、Compulab、Gigabyte、HawkeyeTech、Kontron、Lenovo、Pine64、Raspberry Pi、SolidRunなど、10社以上の主要ODMが、自社ポートフォリオの複数の製品の認証取得を通じてSystemReady対応に取り組んでおり、現在市場では多数の認証製品が販売されています。
  • Red Hat、VMWare、Windowsに加えて、現在はDebian、Fedora、OpenSuse、Yocto Linuxなどの商用OSもArm SystemReadyに対応しています。

セキュリティは、スケーラブルなエッジに不可欠な要素
エッジ・アプリケーションに対するサイバー攻撃の高頻度化・複雑化が進む昨今、スケーラブルなエッジコンピューティングにとってのセキュリティは、システムの標準化と同様に重要な要素です。前向きな現状として、シリコンプロバイダー、ソフトウェア・プロバイダー、デバイスメーカーなど、現在50社を超えるパートナーにより、80種類以上の「PSA Certified」認証製品が提供されています。また、今年初めて、Silicon LabsSTMicroelectronicsの2社のパートナーが、PSA Certifiedレベル3を取得した製品により、IoTのハードウェアとソフトウェアのセキュリティ保護で最高レベルを達成しました。こうした進展は、基礎となるセキュリティに業界が大規模な投資を行っている証といえます。

Project Cassiniのセキュリティの柱のもう1つの重要な要素として、PSA Certifiedに準拠した「Parsec」があります。これによってソフトウェア開発者は移植性を維持しつつ、トップクラスのセキュリティ機能を自社のアプリケーションに直接導入・活用できます。Armが構想したParsecは、Cloud Native Computing Foundationの公式サンドボックス・プロジェクトであり、現在はオープンソース・コミュニティの支持を得て、Fedora、OpenSuse、Yocto LinuxなどのOSと連携しています。

参加主導型のイノベーション
システムアーキテクチャとセキュリティに対する標準化されたアプローチは、引き続きProject Cassiniの基礎となっています。さらに、エコシステムのコラボレーションを通じて、現実のクラウドネイティブなリファレンス実装と青写真を作成することは、セキュアなArmベースエッジデバイスのビジョンによって開発者が得られるメリットの1つです。NVIDIAおよびRancherと開発したAIエッジのユースケース、Redisによる高性能エッジ推論、VMwareと開発した演算統合のユースケースなど、現在は多数の業界パートナーにより、主要なエッジ・ユースケースに対応する最新のリファレンス実装が提供されています。

インフラストラクチャ・エッジおよびIoT市場でのProject Cassiniの成功は、他の分野にも波及効果を及ぼしています。注目すべき点として、エコシステムへの参画企業は、シリコンプロバイダーやODMなどハードウェア企業に限られたものではありません。現在ではProject Cassiniに加えて、自動車やCortex-Mのエコシステム分野でArmが主導する同様の新たなイニシアティブにも、多数のOEMやクラウドサービス・プロバイダー、その他の主要ソフトウェアベンダーが本格的に参画しています。

  • Armは最近、自動車業界のリーダー各社との共同イニシアチブであるSOAFEE(Service Orientated Architecture for Embedded Edge)を発表しました。SOAFEEは、Project Cassiniを基盤とし、ソフトウェア定義型自動車のセーフティクリティカルでリアルタイムな要件に準拠した、クラウドネイティブなアーキテクチャを定義するものです。
  • Armは今週、Cortex-Mベースデバイスの急速な成長の推進を目指す「Project Centauri」も発表しました。Project Centauriは、新しい「Arm Total Solutions for IoT」の重要な要素であり、標準規格、セキュリティ・イニシアチブ、Armの広範なソフトウェア・エコシステムを取りまとめることで、Project CassiniのAクラスシステムに対するメリットを、Mクラスのシステムでも実現していきます。

Project Cassini

Armエコシステムの多様性が実現するイノベーションは、現在の私たちにとっては当然と思われるテクノロジーの多くをもたらしてきました。Project CassiniはArmパートナーに対し、未来のコンピューティング・ソリューションの開発に向けたスケーラブルでセキュアなフレームワークを提供するものです。クラウドからエッジ、エンドポイントデバイスまで、変化し続ける演算要件のニーズに対応できるよう、標準化、セキュリティ、エコシステムのコラボレーションに対するこれまでのアプローチは今後も進化を続けていきます。

Armについて

Armのテクノロジーは、未来のコンピューティングを築く存在です。そのエネルギー効率に優れたプロセッサ設計とソフトウェアプラットフォームは、2,800億個以上のチップを通じて高度なコンピューティングを実現し、センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、あらゆる製品をセキュアにサポートしています。1,000社以上のパートナーとともに、チップからクラウドまで、あらゆる場所でAIを活用できるようにし、またサイバーセキュリティの分野では、デジタル世界における信頼の基盤を提供しています。Armは、これからの未来を築く根幹を支えていきます。

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