SystemReady認証プログラム
Arm SystemReadyは、ハードウェアとファームウェアの一連の基準に基づくコンプライアンス認証プログラムです。ベース・システム・アーキテクチャ(BSA)および基本起動要件(BBR)仕様に加え、一連の付録があります。これは、後続のソフトウェアレイヤーが「適切に動作する」ことを確約するものです。 このコンプライアンス認証プログラムは、システムがSystemReady基準を満たしていることをテスト・認証し、オペレーティングシステム(OS)と後続のソフトウェアレイヤーが適切に動作することを保証します。
こちらのブログをお読みください - Arm SystemReadyプログラムの進展:ソフトウェアが「適切に動作」するシステムの実現
標準規格に対するバランスの取れたアプローチ
Arm SystemReadyは、成功実績のあるArm ServerReadyコンプライアンスプログラムを土台として構築されているため、特に設定することなくサーバーをすぐに使用でき、そのコンセプトはより幅広いデバイスに広がっています。このプログラムでは、標準規格に対してバランスの取れたアプローチを採用しています。標準化を厳格化し過ぎてしまうとパートナーのイノベーションが制限され、反対に不十分だと断片化した製品を支援するためのソフトウェアメンテナンス・コストが高くついてしまいます。
SystemReadyには次のようなメリットがあります。
- 一般的な市販のオペレーティングシステムとワークロードがArmベースのさまざまなプラットフォームでシームレスに動作できるようにすることで、ソフトウェアとハードウェアの開発者向けエコシステムを加速し拡大します。
- さまざまなデバイスとシステムにまたがって標準化を図ることにより、Armベースのデバイスはどの分野に対しても安定したシステム基盤とシステムの選択肢を提供するという実証可能な利点が得られます。
- 一連の規格に従って作成し準拠することにより、オペレーティングシステムとアプリケーションソフトウェアがSystemReadyプラットフォーム上で適切に動作するという確信が得られるため、開発者は製品のイノベーションと価値を高めることに集中できます。
- パートナーが市場に投入するまでの行程を単純化し時間を短縮できます。
- 「SystemReady認証」スタンプが押されるため、Armベースのデバイスのメリットを簡単に識別できます。
- 標準ファームウェアインターフェイスの容易な展開とメンテナンスをサポートし、その結果、複数のソフトウェアプラットフォームをメンテナンスするコストを削減できます。
- ファームウェアのカスタムエンジニアリングを排除することで、新しいプラットフォームの導入に関連するコストを削減できます。
SystemReadyバンド
Arm SystemReadyは、まずはデータセンターサーバー、エッジ、および高性能IoTエコシステムにある多様なデバイスに適用されます。すべてのSystemReadyバンドにわたる主なメリットの1つは、標準ファームウェアインターフェイスの容易な展開とメンテナンスの確約であり、その結果、複数のソフトウェアプラットフォームをサポートするコストを削減できます。
現在、以下の4つのバンドがあり、詳細はリンクからご確認いただけます。
プレシリコンコンプライアンステスト
SystemReadyプレシリコンは、SystemReadyへ向けて明確に定義された低リスクの道筋に沿って、シリコンベンダーがテープアウト前にBSA準拠を達成できるよう支援するイネーブルメントプログラムです。シリコンベンダーがBSAに準拠するためのツール(プレシリコンBSA/SBSAコンプライアンステストなど)、そして何よりも、具体的なステップを示したフレームワークを提供しています。
シリコンベンダーは、SystemReadyに準拠するシステム・オン・チップ(SoC)の開発において、すべてのプレシリコン段階でBSAへの準拠を念頭に置く必要があります。そして、BSAはハードウェア(シリコン)で達成する必要があるシステムアーキテクチャとコンプライアンスを定義したものです。
シリコンSoCメーカーにとって、チップの生産は毎回コストがかかります。プレシリコンコンプライアンスにより、テープアウト前にSoC設計をテストすることができるため、シリコンパートナーのコストとリスクが低減されます。
SystemReadyプレシリコンコンプライアンスのメリット:
- テープアウト前にBSAコンプライアンスを提供
- コストのかかるシリコンの再試作やソフトウェアの回避策を防止
- SystemReadyへの明確に定義された低リスクな道筋を実現
BSA仕様とSBSAなどの補足仕様に基づくArm SystemReadyプレシリコンコンプライアンステストは、シリコンパートナー向けに提供されており、Armは電子設計自動化(EDA)パートナーと緊密に連携し、このためのツールを開発しています。
EDAパートナー:
SystemReadyセキュリティインターフェイス拡張機能
Arm SystemReadyセキュリティインターフェイス拡張機能は、UEFIセキュアブート、セキュアファームウェアアップデート、TPMインターフェイスが、Arm Base Boot Security Requirements(BBSR)仕様の規定通りに実装されていることを証明する方法を提供します。セキュリティ拡張機能は、SystemReady SR、ES、IRバンドに対応することができます。
ファームウェア実装のBBSRへの準拠を検証するために、Architectural Compliance Suite(ACS)を利用することができます。
エッジおよびIoTチップ、システムソフトウェア、デバイスにおけるアーキテクチャ実装のセキュリティ堅牢性を評価するために、別途PSA Certifiedプログラムに従うことができます。
SystemReady Virtual Environment(VE)
Arm SystemReady Virtual Environment(VE)は、Arm SystemReadyプログラムにおけるオプションの認証です。クラウドインスタンスや仮想プラットフォームなど、仮想環境の認証向けに設計されています。SystemReady VEで認証された仮想環境は、その他のSystemReadyバンドと同様に、ソフトウェアが「適切に動作」するユーザーエクスペリエンスを実証することができます。
Arm SystemReadyパートナー
Arm SystemReadyは、基礎となる認証プログラムを提供します。これは当社のパートナーのエコシステムと提携して開発したものです。当社は協力して、多様なデバイスの標準規格を定めています。
関連情報
SystemReadyプログラム、バンド、および仕様を参照する方法については、『SystemReadyスタイルガイド』をダウンロードしてください。
Project Cassiniでのクラウドネイティブなソフトウェア向けの堅実な規格
Project Cassiniは、エッジエコシステム全体においてセキュアでシームレスのクラウドネイティブなソフトウェア体験を実現するための、オープンかつ協調的な標準ベースのイニシアチブです。Project Cassiniは、次の3つの要素で構成されています。
- 堅実な規格
- セキュリティAPIおよびマイクロサービス
- リファレンス実装
SystemReady ESバンドとIRバンドは、Project Cassiniの3本柱の1つを確立することで、堅実な規格をエッジエコシステムに提供します。
Arm SystemReadyに関する無料の技術関連情報
SystemReadyの仕様書はすべて、Armの開発者Webサイトの[Arm SystemReady]ページから無料でダウンロードできます。上の「Arm SystemReadyバンド」表から、貴社の適用例に必要な仕様書を入手してください。