35年間のArmイノベーション:モダンコンピューティングを再定義したArmベース製品35選

December 03, 2025

Armイノベーションの35周年を記念し、世界の演算・接続・創造のあり方を変革してきた数々のテクノロジーを振り返ります。

35年前のコンピューティングは本体が重く、配線が複雑で、膨大な電力を消費していました。ラップトップは珍しく、モバイル機器はかさばり、データの大半はサイロ化されていました。高パフォーマンスには大きな筐体、高コスト、多くのエネルギーが必要であり、この世界で数十億台ものインテリジェントな機器を接続するという発想は、多くの人にとって荒唐無稽な考えに思われました。

Armの登場によって、こうした図式は一変しました。パフォーマンスと効率性の共存の可能性を問い直すことで、Armは極小デバイスにも搭載できるほど高い効率性を持ちながら、世界最大級のシステムにも拡張できる強力なコンピューティングを実現しました。

現在、同社の影響力はコネクテッドな世界人口の100%に及んでおり、3,250億個以上のArmベースチップが、現代の世界を接続し、動かし、駆動させるテクノロジーを支えています。

インテリジェンス、パフォーマンス、電力効率を兼ね備えたArmベースの製品は、モダンコンピューティングを再定義することで、世界の技術変革の起爆剤となってきました。当社の設立35周年を記念し、今回はこのような画期的なArmベース製品35選をご紹介します。

Armの草創期(1980年代~1990年代)

電力効率はArmのDNA形成を支える企業の設計理念であり、「あれば嬉しい」程度の要素ではありません。Apple Newtonは、新たな商用ライセンスモデルによって業界に革命をもたらすとともに、Armが企業としてグローバルに展開していくうえで極めて重要な役割を果たしました。

1. BBC Micro(1981年~1986年):Armが企業として設立される前にリリースされたこのデスクトップPCは、ARMアーキテクチャをベースとした史上初のデバイスです。BBC Microは150万台を上回る販売台数によって商業的な大成功を収め、多くのユーザーが本製品でプログラミングを始めるなど、この世代のプログラマーやエンジニアに多大な影響を及ぼしました。

2. Apple Newton(1993年):市場での大ヒットには至らなかったものの、思考の転換を促す起爆剤として重要な役割を果たしました。当時のArm CEOであるRobin Saxby卿は、個々の製品の枠組みを超えた未来を見据え、Armの先駆的なIPライセンスモデルと将来の成功の礎を築きました。

3. Nokia 6110 GSM携帯電話(1997年):後にArmのフラッグシップモバイル設計となるArm7プロセッサーを搭載した本製品は、商業的な大成功を収めました。Nokiaの代名詞ともいえるモバイルゲーム「Snake」を搭載した初の製品でもあります。


Snake perfection

 

モバイル革命(2000年代)

小型化による持ち運びやすさの向上はイノベーションの波を巻き起こしました。Armのアーキテクチャとテクノロジーは、この時代のモバイル機器全体で、効率的な高性能コンピューティングを実現しました。商業的な大成功を収めたiPhoneのカスタム設計は、この基盤の上に構築された高度な技術パートナーシップの力を示すものです。

4. iPod(第1世代)(2001年):Armv7アーキテクチャをベースとしたiPodによって、人々の音楽の楽しみ方は大きく変わりました。

5. ゲームボーイアドバンス(2001年):Armテクノロジーが初めて携帯型ゲーム機に採用された製品です。

6. BlackBerry Quarkシリーズ(2003年):2000年代初頭から後半にかけてのスマートフォンの爆発的普及に先立ち、BlackBerryはモバイル機器を、エンタープライズの生産性体験に不可欠な、常にオンラインでつながる「常時接続」デバイスへと変えるうえで重要な役割を果たしました。これが5年後のArmベースのBlackBerry Boldシリーズの成功へとつながりました。

7. Motorola Razr V3(2004年):Armv5アーキテクチャをベースとする本製品は、世界有数のベストセラーとなった「クラムシェル型」モバイル機器であり、全世界で1億3,000万台以上を出荷しました。なお、90年代後半には、史上初の折りたたみ式携帯電話であるMotorola StarTAC(同じくArmベース)もリリースされています。


Motorola Razr V3

Motorola Razr V3

 

8. Amazon Kindle(第1世代)(2007年):ARM9プロセッサーを搭載した世界初の電子書籍リーダーとして、その後の数世代にわたる電子書籍製品へとつながりました。

9. 初代iOSおよびAndroidスマートフォン(2007年、2008年):初代iOS(iPhone 1)とAndroid(HTC Dream)スマートフォンはいずれもArmベースであり、Apple iPhone、Google Pixel、Samsung Galaxyシリーズなど、現在販売される数十億台ものArmベースのiOSおよびAndroidスマートフォンの礎となりました。

10. iPad(第1世代)(2010年):Arm Cortex-A8プロセッサーを搭載した世界初のタブレット機器として、タブレット市場におけるArmテクノロジーの世界的な採用へとつながりました。モバイルの枠組みを超え、IoT、データセンター、自動車へと拡大(2010年代)

2010年代のArmは、新たなArmv8アーキテクチャを通じて「スケールアップ」を実現し、自動車、データセンター、IoT、PCなど、新たなコンピューティング分野への進出を加速させました。これにより、高いエネルギー効率というArmの企業理念は、これまで以上に広範なコネクテッド・インテリジェント・システムへと広がりました。

11. Nestサーモスタット(第1世代)(2011年):Arm Cortex-M3+プロセッサーを搭載した世界初の家庭用スマートサーモスタットであり、数十億ドル規模のスマートホーム市場の礎となりました

12. Raspberry Pi(モデルB)(2012年):初のArmベースRaspberry Piプラットフォームは、多くのハードウェア設計者、ソフトウェア開発者、愛好家に対し、2010年代に成長したIoT市場向けソリューションを実験・開発する機会をもたらしました。



13. Ringビデオドアベル(第1世代)(2013年):現在では広く普及しているRingビデオドアベルですが、その第1世代は当初、Arm Cortex-A7+プロセッサーを搭載していました。

14. Samsung Gear S(2014年):世界のスマートウォッチの先駆けとなった本製品は、Arm Cortex-A7 CPUおよびMali GPUテクノロジーをベースとしています。

15. Amazon Echo(第1世代)(2015年):世界のスマートアシスタントの先駆けとなった本製品は、当初はArm Cortex-A8+プロセッサーを搭載しており、家庭向けAIアシスタント市場の成長を牽引しました。

16. Roku Streaming Stick(2016年):ストリーミングサービスの人気拡大に伴い、多種多様なストリーミングスティックが市場に登場しましたが、そのひとつであるRokuはArm Cortex-A53プロセッサーを搭載していました。

17. Samsung Smart TV(2016年):Cortex-A53プロセッサーコアを搭載したこれらのスマートTVは、スマートホームオートメーションのハブとなり、ユーザーは家庭内の他のコネクテッドデバイスを制御できるようになりました。

18. Tesla Autopilot HW2(2016年):Tesla車におけるArmテクノロジーの初期の採用例として、S/3/X/Yモデルのオートパイロットシステムに統合されました。

19. Nintendo Switch(2017年):ニンテンドーDSに続く任天堂の次世代ハンドヘルドゲーム機も、Armテクノロジーをベースとしています。

20. AWS Graviton(2018年):クラウドおよびデータセンター向けの初代AWS Graviton CPUは、16個のCortex-A72 CPUコアをベースとしていました。その後のGraviton 2/3/4ではArm Neoverseプラットフォームが採用されています。

21. Chromebook(2018年):Arm Cortex-A73/Cortex-A76 CPUとMali GPUを搭載した第1世代のArmベースChromebook機器(Acer、HP、Lenovo製品など)が登場しました。

22. MacBook Air(2019年):MacBook Airの第1世代モデルには、Armv9アーキテクチャをベースとするApple独自のM1チップが採用されました。

23. iRobotルンバi7(2019年):世界のロボット掃除機の先駆けとなった本製品には、Arm Cortex-A53+プロセッサーが搭載されています。

24. スーパーコンピューター「富岳」(2020年):理化学研究所と富士通が共同開発したArmベースシステム「富岳」は、約730万個のArm CPUコアを搭載しています。2020年には世界最強のスーパーコンピューターの座に輝き、Armベースのスーパーコンピューターとして初めて第1位を獲得しました。



25. Meta Quest 2(2020年):Arm Cortex-A77/Cortex-A55 CPUコアを統合した、エンターテインメントおよびゲーム体験をリードするVRヘッドセットです。


26. メルセデス・ベンツSクラス(2020年):メルセデス・ベンツのSクラスモデルにはArmのCPU/GPUテクノロジーが採用されています。現在では、世界中のほぼすべてのOEMがArmテクノロジーをコンピューティング基盤として採用し、安全性が求められる先進運転者支援システム(ADAS)から没入型のキャビン内体験まで、さまざまな機能を支えています。



AI時代の到来:AIクラウド/データセンター、ロボット、エッジAI(2020年代)

AIドリブンな2020年代において、ArmはCPU、GPU、アクセラレーター技術を組み合わせたヘテロジニアスコンピューティング手法を活用することで、あらゆる場所にインテリジェンスが行き渡る時代を支えています。一方、このインテリジェントでコネクテッドな世界の可能性をフルに引き出すうえでの重要な原動力としてソフトウェアへの注目が高まる中、Armの開発者コミュニティは全世界で2,200万人以上に拡大しています。

27. 火星ヘリコプター「インジェニュイティ」(2021年):Armv7アーキテクチャを技術基盤とするインジェニュイティは、火星初の自律飛行を実現しました。

28. NVIDIA Grace Hopper(2022年):超大規模のAIおよびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)アプリケーション向けのNVIDIAスーパーチップであり、144個のNeoverse CPUコアを搭載したArmベースのNVIDIA Grace CPUを採用しています。

29. Boston Dynamics Spotロボット(2023年):Arm Cortex-A CPUテクノロジーを基盤とし、産業・商業ユースケース向けに設計された四足歩行ロボットです。

30. Microsoft Azure Cobalt 100(2023年):Arm Neoverse Compute Subsystems(CSS)をベースとした、Microsoft初のクラウド向けカスタムシリコンです

31. Google Cloud Axion(2024年):クラウドおよびデータセンターにおける汎用演算およびAI推論ワークロード向けの、Neoverse搭載カスタムプロセッサーです。



32. Nuro Driver(2024年):自動運転車の大規模展開に向けた第1世代のL4自律テクノロジーであり、Arm Automotive Enhanced(AE)テクノロジーをベースに構築されました。



33. Geely EX5(2025年):吉利汽車の国際市場への初参入となったこの自動車にはArm AEテクノロジーが採用されており、インテリジェントなパフォーマンスに牽引されるソフトウェアデファインドビークルへの、自動車業界の明確なシフトを示しています。

34. Meta Ray-Banディスプレイ・スマートグラス(2025年):Armテクノロジーをベースとし、フルカラーの高解像度ディスプレイを搭載した先進的なAIスマートグラスです。

35. NVIDIA DGX Spark(2025年):ArmベースのパーソナルAIワークステーションにより、あらゆるAI開発者・研究者が、自分のデスクに高性能AIシステムを持つことを可能にします。

Arm上で築かれる未来

これらのArmベース製品のマイルストーンはいずれも、世界中の数十億の人々の日常的なテクノロジー体験に深い影響を及ぼしてきました。それぞれの年代を通じて、Armはコンピューティングのダイナミクスを変革し、テクノロジーをより身近なものとし、必要なあらゆる場面でインテリジェンスとパフォーマンスを実現してきました。私たちがAIの時代を進み続ける中、Armは引き続き基盤プラットフォームとして、現在と未来における「何が可能か」を形づくっていきます。

この35年間、Arm上で最先端の技術革新から現実の変革を生み出してきたすべてのエンジニア、イノベーター、パートナーの皆様に心より感謝するとともに、次の35年間に待ち受ける未来を楽しみにしています。

Armについて

Armは、業界最高の性能と電力効率に優れたコンピューティング・プラットフォームであり、コネクテッドな世界における人口の100%に貢献する比類のないスケールを備えています。Armは、演算に対する飽くなき需要に応えるため、世界をリードするテクノロジー企業に先進的なソリューションを提供し、各社がAIによるかつてない体験や能力を解き放つことができるよう支援しています。世界最大のコンピューティング・エコシステムと2,200万人のソフトウェア開発者とともに、私たちはArm上で築くAIの未来を形作っていきます。

全ての情報は現状のまま提供されており、内容について表明および保証を行うものではありません。本資料は、内容を改変せず、出典を明記した上で自由に共有いただけます。ArmはArm Limited(またはその子会社や関連会社)の登録商標です。その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれの権利者の所有物です。©1995-2025 Arm Limited.