Arm、AI対応自動車の開発を最大2年短縮する、最新のオートモーティブ向け テクノロジーを発表

March 14, 2024

 

発表の概要

  • 新しい安全対応のArm Automotive Enhanced(AE)プロセッサーにより、AI主導型のユースケース向けに最先端のArmv9ベースおよびサーバークラスの性能を実現
  • 将来提供されるオートモーティブ向けArm Compute Subsystems(CSS)は、開発時間とコストをさらに低減し、高性能の車載システム開発に最大限の柔軟性を提供
  • 今回初となるオートモーティブ市場向けのバーチャルプロトタイピング・ソリューションにより、Armのエコシステムは物理チップの完成を待つことなくソフトウェア開発に着手でき、開発期間を最大2年短縮可能に

英Arm(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:神奈川県横浜市、以下Arm)はこのたび、Armとエコシステムによる業界初を目指す一連の取り組みの成果として、最新のArm Automotive Enhanced(AE)プロセッサー群とオートモーティブ向けの新しいバーチャルプラットフォームを発表します。これらは導入初日から利用でき、開発サイクルを最大2年短縮できるというメリットを業界にもたらします。

Armのシニア・バイスプレジデント兼オートモーティブ事業部門ジェネラルマネージャーであるディプティ・ヴァチャーニ(Dipti Vachani)は、次のように述べています。「かつてない変革期に直面する自動車業界では、さらなる自律性や、より高度なユーザー体験、そして電動化へのトレンドといったニーズを背景に、ソフトウェアとAIに対する爆発的な需要が生まれています。車載エレクトロニクスの複雑化が進む一方でタイムリーな提供を求められる中、製品開発に対する抜本的な見直しが必要です」

次世代AEプロセッサーが、オートモーティブ向けに初めてArmv9ベースおよびサーバークラスの性能を実現

Armは今回初めて、Armv9ベースのテクノロジーをオートモーティブ向けに提供し、この最新世代のArmアーキテクチャがもたらすAI、セキュリティ、仮想化などの機能を自動車業界で活用できるようにします。今日の自動車に求められる性能要件に応えるため、Armではインフラストラクチャ市場における強みを生かし、サーバークラスのNeoverseテクノロジーを車載向けにも投入するとともに、拡張性の高い新しいArmv9ベースのCortex-A製品も提供します。このたび発表する製品のラインナップは以下の通りです。

  • Arm Neoverse V3AENeoverseテクノロジーをオートモーティブ分野に初めて導入、AIアクセラレーション対応の自律走行とADAS(先進運転支援システム)のワークロード向けにサーバークラスの性能を提供
  • Arm初となる車載用途に特化したv9ベースCortex-Aプロセッサー:
    • Arm Cortex-A720AE幅広いソフトウェア定義型自動車(SDV)アプリケーション向けに、業界をリードする持続的パフォーマンスとSoC設計の柔軟性を提供
    • Arm Cortex-A520AE業界をリードする電力効率と機能安全を通じて、車載ユースケースに幅広く対応
  • Arm Cortex-R82AE最高性能のリアルタイム・プロセッサーとして、機能安全向けのリアルタイム処理に初めて64ビット演算を提供
  • Arm Mali-C720AE最も高負荷のコンピュータービジョンとヒューマンビジョンのユースケースに最適化された、構成可能なISP
  • 一連の構成可能なシステムIPにより、Armのシリコンパートナーはスケーラブルな高性能車載SoCを提供可能に

今回の新技術は、Marvell、MediaTek、NVIDIA、NXP、ルネサス、Telechips、Texas Instrumentsなどの大手企業がすでに採用しています。詳細については、ブログ記事(英文)をご参照ください。

オートモーティブ向けArm Compute SubsystemsCSS)提供への道のり

今後、システムはさらに複雑化し、安全性へのニーズは高まる一方です。Armでは、これら全ての演算コンポーネントをパートナーのために取りまとめ、重要な部分で一貫性を保つための標準化に取り組んでいます。オートモーティブ向けのArm CSS  for Automotiveは今後、最先端のファウンドリー・プロセスに対応し、性能、消費電力、実装面積に最適化されたArm AE IPの事前統合済み・検証済みの構成を提供します。オートモーティブ向けCSSの第一弾は、2025年中の提供開始を予定しています。

バーチャルプロトタイプにより、シリコンの生産を待つことなくArmAE IPを活用したソフトウェア開発が可能に

従来型の自動車の開発サイクルは直線的なプロセスであり、プロセッサーIPが提供された後、シリコンの開発が始まり、約2年後にハードウェアが完成すると、ソフトウェア開発者はこれに基づきソリューションの構築に着手するという流れでした。しかし、Armは今、業界をリードする最新世代のArm AE IPを使用したバーチャルプロトタイピングという新しいアプローチによって、この状況を変えようとしています。Armは、Amazon Web Services(AWS)、Cadence、Corellium、Siemensをはじめとする業界リーダーと協業し、こうしたバーチャルプラットフォームとクラウドソリューションを提供します。これらのソリューションは、Autoware Foundation、BlackBerry QNX、Elektrobit、Kernkonzept、LeddarTech、Mapbox、Sensory、Tata Technologies、TIER IV、Vectorなどのパートナーとの協力により、ソフトウェアスタック全体にわたって、より早く、よりシームレスな開発を可能にします。新しいバーチャルプラットフォームについての詳細はこちら(英文)、基盤およびアプリケーション・ソフトウェア層におけるコラボレーションについての詳細はこちら(英文)をご参照ください。

本日の発表は、オートモーティブ・エコシステムの実現に向けた重要な一歩です。開発者にとっては新たな機会が得られると同時に、Armベースのソフトウェア定義型自動車の未来を構築する自動車メーカー、ティア1サプライヤー、半導体メーカー、ソフトウェアプロバイダーは、市場投入期間の短縮というメリットを享受できます。

Armについて

Armのテクノロジーは、未来のコンピューティングを築く存在です。そのエネルギー効率に優れたプロセッサ設計とソフトウェアプラットフォームは、2,800億個以上のチップを通じて高度なコンピューティングを実現し、センサーからスマートフォン、スーパーコンピュータまで、あらゆる製品をセキュアにサポートしています。1,000社以上のパートナーとともに、チップからクラウドまで、あらゆる場所でAIを活用できるようにし、またサイバーセキュリティの分野では、デジタル世界における信頼の基盤を提供しています。Armは、これからの未来を築く根幹を支えていきます。

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